橋梁、建築物、船舶などの設計図面は、A0(1089×841 mm)のような大きな寸法の用紙を使います。図を用紙に作図させる作図機械には種々ありますが、現在主流となっている方式は、841mmの用紙幅のロール紙が使えるような、レーザー方式かインクジェット方式の大型のプロッタです。最小のプリンタは、用紙幅が210 mmで、A4(297×210 mm)の用紙を縦に使うもので、Faxなどで使われているようなものです。実用的には、ロール紙よりも一定の寸法に裁断したA4、A3などの用紙が使われます。
作図の方法は、基本的にはインクペンで線を描く線図を考えるのが分かり易いでしょう。ペンの動ける範囲が作図の領域であって、使用できる用紙の寸法よりも狭くします。作図面には方眼状の座標が設定され、ペンの位置の制御はこの方眼の交点で与えます。方眼の目の間隔がこの作図装置の物理的な精度であって、目が粗いと線が滑らかに見えません。精度は大体0.1 mmくらい(250 DPIが標準です。ロール状の用紙が使えるプロッターでは最大6mの横長の図面が作図できます。ペンの位置を指定するのが装置座標系ですが、これは方眼座標を指定する関係で、座標値には整数が使われます。装置座標系の定義は装置ごとに固有の決め方があります。したがって、仮に整数で表した座標データが共通に利用できるとしても、図の現れ方は作図装置で利用できる用紙寸法と精度とによって異なることになります。
文書だけを印刷する装置をプリンタと呼びますが、この装置はレーザー方式やインクジェット方式が主流となってきたため、図と文書とを同じプリンタで出力できるようになりました。したがって原理的には用紙の全領域を作画面として利用できる作図装置です。画面の精密さ(レゾリューション)を表す尺度には、1インチ(25.4mm)あたりのドット数(DPI)で表します。通常のプリンタでは600 DPI程度であってペンプロッタよりも細かな作図ができます。作図装置としてこれらのプリンタを使う場合には、描く図の実寸法で座標を与えます。そのため、装置に図形を描かせる際には、コンピュータ内部で実寸法をドット数に変換することが行われます。この処理は一般にデバイスドライバと呼ぶソフトウェアが受け持ちますが、これは、プリンタごとに固有です。
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