2.12 ビューポート座標系

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 ビューポート(viewport)とは、物理的な表示範囲の中に部分的に矩形の領域を決めて、そこを実際の作図領域に指定する作画面のことを言います。ビューポートは、有効な装置座標の範囲内で矩形の領域を決めることで定義します。そしてビューポートの中に別の2次元座標系を決めて、画像データをそのビューポート座標系で描き出します。最も基本的なビューポートは、作図装置全体を一つのビューポートとすることです。作図領域をいくつかに分割して利用する場合には、複数のビューポートの定義がなされます。用紙に作図する場合には、ビューポートが相互に重ならないように定義しなければなりません。この場合には、あるビューポートからはみ出して作図しないようにして、他のビューポートに書き込むことを禁止します。これをシザリング(scissoring)、またはクリッピング(clipping)と言います。

 コンピュータディスプレイの場合には、作画面をビューポートではなく、ウインドウの用語を使うので紛らわしいことになります。作画面をいくつも用意することができて、作画面を重ねて見ると、一番手前の作画面が全部見えていて、他の画面はそれぞれ手前のビューポートで隠されます。あるウインドウを選択すると、それが一番手前にきます。このような画面管理のオペレーティングシステムは、最初Macintoshのパーソナルコンピュータで利用され、Microsoft社のWindows のOSに採用されているものです。

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