算盤で足し算・引き算を連続して計算するとき、引けなくなった場合でも計算を連続的に進めたいことがあります。このとき、一時的に頭の方に9999…を詰めた表示を使うことがあります。これが補数(complement)です。ただし、補数を生の数字に書いて扱うことはしません。算盤の場合は10進数の補数ですが、コンピュータのレジスタでは、負の数を表す方法として2進数の補数を内部表現で使います。算盤の常識があると、補数の表現を納得できます。しかし、そうでないと現実感がなくて、途端に難しい問題になります。算盤で考えると、負の数の補数表現は9を頭の部分に埋めるのですが、適当な桁区間を考えて、そこの頭に9を詰めます。この、適当な区間に区切る単位が計算機械では決めてあって、これがレジスタです。単純な電卓では整数10桁が普通です。コンピュータでは2進数の桁(ビット)で言い、内部では8/16/32/64ビット単位のレジスタで扱います。算盤は一続きのレジスタを、使う人が適当に区画を決めて、複数のレジスタに分けて使います。コンピュータの場合には、逆に、単位長さのレジスタ(例えば16ビット)を論理的に繋いで桁数の多いレジスタとして使います。