秋16歩く視線。
山峡(やまかい)に囲まれた秩父への旅は、二本の国道と私鉄二線によるしかない。市内や郡内の主要道や鉄道もかつては馬車道で、馬借や荷車が行き交っていた。随所にある庚申塚や馬頭観音はその名残りだろう。今、道は舗装され、様々の車が走り、ガードレールがその安全を守っている。列車も特急がメインになり、沿線の通過駅は、朝夕のみ賑わう。旅人は、のどかさを求めてこの地を訪れるが、ダイヤに合わせた一日は、むしろ忙しさが先にたつ。山里の良さを知るには、やはり歩くことに尽きる。峠の途中に咲く名もない花は、そう語っているようである。
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