秋25
静寂の秋野
旧盆の「虫送り」で悪霊払いが済むと、風が秩父路に秋を運んでくる。ススキが風にゆれる中を赤トンボが飛びかっている。ふと見ると小さな花の先に赤トンボが羽根を休めている。飛んで逃げていった向こうの農家の軒先にトウモロコシの実が吊り下げられ秋の陽ざしを浴びている。今日は耕地の祭りの日。お祝いの赤飯（おこわ）がスギの葉に乗せて供えられ、トコトン、トコトンと太鼓の音が聞こえてくる。秋の夕暮れはつるべ落とし。
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