秋31
原風景への旅。
女は機をうち、糸を紡ぎ、男は桑の葉を刈り、蚕を養い、山野のものを奢ることなく糧とし、いつも傍らに花や樹木を置き、人が訪(と)う日には、火を囲み静かに語らう。巡る季節に沿って歩く秩父の里には、そんな昔の暮らしぶりを伝えてくれる民家が今も散在している。東京からの旅人が一度ならず、二度三度とこの地を訪れるのは、何も近いというだけではない。ここには、都市が失った、この国の原風景が現在形で生きているからではないか。箱庭のような盆地の中にある大らかな「生の息吹」。そこでは色彩もイキイキと輝いてみえる。
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