秋33
山輝く、秋黄期。
秩父銘仙は、この街が生みだしたもっとも美しいもののひとつ。かつては年間百万反に及ぶ生産量だったというが、今は幻のきものとして、好事家のもとでお目にかかるのがやっとである。機会があって、その貴重な一枚を見ることができた。それは輝くような黄色の下地に、真赤な大柄の鶏頭の花を散らした、ゴッホさながらの色彩だった。しかし秋深まる秩父の黄色に染まった山々を眺むと、その色使いが実は至極自然なものだと納得できる。銘仙は消えてしまったが、それを生んだ風景や花は、どうにか健在のようだ。
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