冬19雑木林の糧。
木は、山国秩父の人々にとって、もっとも手慣れた生活資材である。とはいえ雑木林が大勢を占めるこの辺り、杉やひの木は格別。自家用は、もっぱら櫟(くぬぎ)、椎、欅の類で、用途に応じて使い分けられる。建材、燃料、栽培の他、かつては「こうぞ」や「桑」のような原材もその一角にあったが、今日では老優である。ところで、木の恩恵を知り、その豊かさあたたかさに触れながら、つい忘れがちなのが山仕事のきつさ厳しさである。近頃の木の復権は、望ましいがこれを支える辛苦に、思い至らないのは、過ぎた自然賛美であり片手落ちである。木のぬくもりは、森と人の手の合作なのだから。
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