政策研究に係る講習会 平成8年4月3日
講師 札幌市高等専門学校 助教授 宮内博美氏
・風土をイメージでとらえる。
- 風 土 :(環境,土,空,植物,水,花,建物等)+(人間)
- イメージ:言葉 1.名詞
- 2.形容詞
- 3.副詞
- 風土,言葉から色,形,素材,柄等のデザイン要素を得る。
・注意が必要なのは言葉で“新緑”と言っても地域性がある。
- 植生,木の形,日光の差し込み具合等がそうであり、写真による定点観測が違 いを判別する上で重要になってくる。
・札幌の20〜70代の人を対象(配色に関しては素人)に札幌,東京の春及び秋 のイメージを配色してもらったところ、
・人それぞれであったがそれらすべてを考慮すると配色のプロ(宮内先生) が作った配色とほぼ同じになる。
・したがって素人が多く集まれば地域にあった配色を見つけられる可能性は ある。
・イメージ語からスケールに合ったものを当てはめていく。
・イメージ語の中で多くでてきた言葉BEST3をとっていき、統計をとる。
・嗜好を考慮する。(地域のイメージとは別に好きな言葉を選んでもらう。)
- 例 イメージスケールにおいて風土に関する言葉が外側、嗜好に関する言葉 が内側にあるのは都会に住む人の傾向である。
- Soft
- Hard
- 以上のように風土と嗜好の組み合わせでイメージをとらえる。
・風土は少しの差(距離)では違いは見られにくいが、嗜好を絡ませるとハッキ リと違いが見えてくる。
・地域のイメージより嗜好は人間的な補完作用から類推できる。
これにより食品,色,配色,ディテール,建物,植物など地域にあった物が見つ かってくる。
最終的には物づくりになる。
- ・作った物を集めたときに秩父がイメージできるか。
- ・風土と嗜好がオーバーラップしたところが地域に受け入れられる物である。 受け入れられた場合は長続きする商品となるが、受け入れられない商品は 単なる土産物として扱われてしまう。
・地域をちょうどイメージする物を9つの当面積の写真で表す。
(これはデータベースをイメージさせるようなつくりである。)
- 光の具合:明るさ,反射などを考慮して作る必要がある。
・秩父イメージの分析から方向付けをして外に向けて発信することを目的とする。
・瞬間的なもの(例えば夜祭り)はイメージとしてとらえてもらえない。つまり、 普段から目にしているものでなければならない。
・物を買うという行動には雰囲気が関わってくるため重要なことは、一つに決定 したイメージを個々がかみ砕いて理解し、
- 来訪客型
地域消費型 という対象の違いによってイメージを移動させる必要がある。 全国消費型
- 今回の講習会に出席された方
- 石塚工房 石塚 賢一
- (有)碓井捺染 碓井 正男
- 寺内織物(株) 寺内 秀夫
- 久米一級建築士事務所 久米 修
- (株)矢尾本店 矢尾 武広
- (株)武蔵屋 関根 昭文
- ハシヅカ設計室 橋塚 晃司
- アイダス一級建築士事務所 斉藤 巌
- 以上、8名。
- 今回出席した職員
- 繊維工業試験場 持田 紀久雄
- 繊維工業試験場入間支場 森谷 永男
小林 孝司
高橋 広子
- 繊維工業試験場秩父支場 松岡 猛博
原島 征吾
- 竹内 了
清水 英明
- 金子 亮
井ヶ田 幸生
松澤 尚司
高橋 栄一郎
根岸 亨江
政策研究についての打ち合わせ
平成8年4月3日
◎他の地域との比較
- ・1カ所か2カ所、特に織物の産地との比較がよいと思われる。(桐生,甲府な ど)
- ・すぐに収集できるデータ(例えば気象データ,植生の文献)を集めて比較する。◎色差関連
- ・土や石の色のほかに空の色が必要であるため、時間,場所,角度を設定して 写真を撮って資料とする。
- ・濡れた状態の色から乾いた状態の色を想像することは非常に困難であるため 基本的には晴れたときに資料を収集する。(乾いた状態の色から濡れた状態の 色を想像することは可能である。)
- ・色差計で測定した数値と、実際に目で見たときとの差の認識が必要となって くるため焼物や木製品,民俗資料館にある民具などでシュミレーションしてみ る。
◎植生関連
- ・自然史博物館の資料を利用する。
秩父は植生が豊かなので紅葉も場所によってかなりの違いがあることに注意 する必要がある。
◎セメントが発見された経緯を知り、発見の前後で秩父の町並みにどのような変 化が現れたのかも調査する。
◎色差計で色差を測定していくのと同時に色標化(1,100種)をしていく。
◎資料集めは担当制とし(例えば植物担当,建物担当等)、基本的には資料とする ものの撮影は接写する。(したがって、写真撮影のマニュアル化をする必要が 生じる。)
◎アンケート調査の手法は人が一堂に会するところで20〜60代の人で,居住・ 非居住,男女別に行い、1つの母集団は40名とする。
◎配色は参加者全員にやってもらう。
◎年度末にある程度、まとめをする。