秩父デザインリソース政策研究に関する打ち合わせ(5月定例研究会)

平成8年5月1日

講師 札幌市立高等専門学校 助教授 宮内 博実氏

・この地域できれいだと思うものを写真撮影し、これをパターンに置き換える作業をしていくが、きれ
いだと思うものでも他地域にもあるもの単独では地域色が出せないので、それを複合化することによ って地域色を出していく。(学生はこの作業を1ヶ月間;約12時間で行う。)
・パターン化の作業は基本的には感性で行い、コンピュータを使って作業できるのはほとんどないと思 っていた方がよい。
パターン化にはものを簡略化する作業があるが、コンピュータでは簡略化或いは省略してよいもの まで残ってしまい、簡略化するどころかかえってパターンを複雑化してしまうので作業がやりにく くなりあまり使用しない。ただし、選んだ写真によってはコンピュータを有効に利用できるものが あるかもしれない。
・2年間の研究では色(配色),柄(パターン)の作成とそれを利用した商品の開発が目的であって、 素材,形の研究までは行わず、商品開発の際には各企業が研究成果を考慮しつつ素材,形を研究して 製品にする。
・データ収集を10月頃に一時中断してパターン化を行ってみて、そこからまた写真撮影をしていく。 パターンを作ることによってそれを念頭に置いた写真撮影ができるようになるため、必要な作業で ある。
・写真→配色→パターン化(イメージコラージュ)していくことによって、説得力のあるものができあ がる。
・気象や植生データはあくまで写真撮影で取られたものに対する裏付けであってメインではない。
データに示された数値等が気象,植生にどのように影響しているのかを知った上で、写真をとるこ とが目的である。
・デリケートな色(色が薄い等)のものはコンピュータでは扱わない方がよい。
(ディスプレイ上での色とプリントアウトされたものでは色にかなりの違いがあるため)
・調査地域は週1回行ける範囲で写真撮影は10:00〜15:00の間で2,3時間を目安に行う。定点観測の 撮影は原則として晴れた日に行い、5月〜9月まで月に1回程度撮影する。なお、定点観測する場所 は山,木,街(民家)が入るようにし、上から下に向けて撮影するか、下から上に向けて撮影する。 場所の決定は5月に各地域担当の班が調べて写真をとり、先生に見ていただいて6月の定例研究会で 場所の確定をする。
・各班なるべくまとまって撮影する。また祭りは地域ごとに分担して撮影し、夜祭りは全員で対応する。
・織物,民具,建築物,祭具などの人工物は昭和初期,昭和30年代をポイントとしてとらえる。
この時期をポイントとしたのは昨年度のアドバイザーで先生がプレ調査をした際に、織物の見本帳 から秩父に活気のあったのはこの時期ではないかと感じたためである。しかしながら、織物だけか ら判断しているので果たして適当であるかどうかはわからないが、調査しているうちに違う時期を ポイントとした方がよい場合は変更する。
・農林水産物や工芸品の分布を白地図に記入し、地域ごとの特徴を捉える。
秩父地域は谷あいの文化があると思われるので、各川に特徴が出ることが期待できる。調査対象の 例としてはお茶,蕎麦,柿,わさび,きのこ,竹の子の栽培やワイン,地酒,こんにゃく,和菓子 花火の製造や魚の養殖,乳牛の飼育など
・秩父にしかない植物で植物染めをしてみて秩父独自の色を見つけるほか、石,土,植物などもってこ れるものはもってきて測色するが、もってこれないものはチャートをもっていってチャートといっし ょに写真を撮る。
・秩父は川沿いに人が集まって谷あいの文化を形成しているので、石の違い,水の流れの違いには特に 注意する必要がある。また谷あいの文化が人の気質にどのような影響を与えているのかを調べてみる。
5月定例研究会出席者(敬称略)
アイダス一級建築士事務所 代表 斉藤 巌
石塚工房 代表 石塚 賢一
級O井捺染 代表取締役 碓井 正男
葛T沢屋 取締役洋菓子チーフ 菊池 政文
且專熕D物 代表取締役 寺内 秀夫
ハシヅカ設計室 橋塚 晃司
橋塚 千恵
華工房 主宰 木村 和恵
武甲酒造 専務取締役 長谷川 浩一
竃尾本店(酒造りの森) 取締役統括部長 矢尾 武広
泣香[ラン 若林 あき子

連絡事項

研究会名簿といっしょに閉じてある班分け表に記載した地域が今回の定例研究会で決定した定点観測 の分担です。分担地域で定点観測に適した場所(候補地)を見つけて写真を撮り、次回の研究会で場 所の決定を先生にしていただく予定になっています。そこで定点観測にふさわしいと思われる場所で 写真を撮っていただき、今月の24日までに写真を試験場にお持ちください。(郵送でも結構です。) お預かりした写真はほかの会員の方が撮ったものといっしょに先生へお送りし、検討していただくこ とになっていますので、お忙しいとは思いますが写真撮影をよろしくお願いします。なお、フィルム は試験場で用意する予定でしたが間に合いそうにないので今回だけはお持ちのものを御使用ください。
次回の定例研究会は6月10日 13:30〜16:00に行う予定になっていますのでスケジュー ルの調整をよろしくお願いします。なお、出欠席の確認は後日お送りする研究会の通知にて行います。 ご不明の点やお気づきのことがございましたら、試験場(TEL 22-0134)の情報指導課 金子 或いは 井ヶ田(いげた)までご連絡ください。