軌跡制御によるキャラクタアニメーション誇張手法

[概要]

 3DCGキャラクタの動き(モーションデータ)を手作業で作成することは非常に多くの時間と労力のかかるものである.また,より自然で魅力的な動きを作成するためには熟練したアニメータの高い技術による長時間の作業が必要となる.そこでコンピュータの支援によってモーションデータ作成作業の効率化・単純化をはかることが望まれる.

 現在,モーションキャプチャシステムなど多くのコンピュータ支援によるモーション作成技術の特徴は,よりリアルな動きの作成に重点をおいていることである.一方,アニメーションにおけるキャラクタの動きには必ずしもリアルではない,誇張された動きの表現が頻繁に用いられている.これらの表現は現実の物理法則からはかけ離れたものであるが,キャラクタの動きをより魅力的に見せるために欠かせない要素の1つである.このような動きの作成は従来の技術では扱われておらず,現状熟練したアニメータの知識と経験,試行錯誤の結果に頼ることとなっている.

 そこで本研究では,そのような誇張された動きのモーションデータ作成においてもコンピュータによる支援を導入し,作業の効率化を図ることを目的とする.また,パラメータによる制御を行うことによって試行錯誤を容易にし,アニメータの発想支援をも可能とする.

 本研究ではまず,実際のアニメーション制作においてどのような誇張表現が用いられているか,調査を行った.この調査に基づき,本手法ではではこれらアニメータが用いる様々な誇張表現の中から主に「アンティシペーション」「フォロースルー」「タイミングの制御」「形状の変形」の4つの手法に注目する.

 次にモーションキャプチャーシステムやアニメータの手作業で作成された既存のモーションデータに対して,これらの誇張表現を自動的に加えるための動作誇張モデルを提案する.本提案手法では,キャラクタの手や足など,各部位が描く軌跡情報を利用して動作の特徴判断および制御を行う.これによって,ユーザは誇張表現の制御を直感的に行うことが可能となる.


[発表論文]

3Dキャラクターアニメーションのための動作誇張モデル [PDF](1,247KB)
初山和秀, 近藤邦雄, 電子情報通信学会東京支部学生会「研究発表会」, 2002.3

軌跡制御による動作誇張モデルを用いたキャラクタアニメーション生成手法 [PDF](1,571KB)
初山和秀, 近藤邦雄, 情報処理学会第64回全国大会, 2002.3

3Dキャラクタアニメーションにおける動作誇張モデルの設計 [PDF](3,887KB)
初山和秀, 近藤邦雄, 日本図学会本部例会, 2001.12