1.5 本書の目的と構成

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 本書の目的は、コンピュータを応用して幾何に関わる計算をするにはどのように考え、どのように処理すればよいか、という観点から幾何学的処理の解説をすることにあります。したがって、計算幾何学・コンピュータグラフィックス・CADなど、専門的な問題への入門を意識してまとめました。なぜかというと、それらの専門書を理解するためには、座標系や図形の変換などの基礎的な知識が必要になるのですが、そこでは丁寧な説明のために多くのページを割くことはないからです。本書は、基礎的な知識の穴埋めに利用するという考えでまとめました。そのため、数学書ではありますが、解説のためにやや文章を多くしてありますし、計算式を示す場合にもできるだけ式の意味や解釈を補うようにしました。特に、著者の開発した幾何処理用コンピュータ言語のG-BASICと、その言語でサポートされた幾何モデリングのプログラムパッケージGEOMAPを利用する前に、理解しておくべき知識のためのプライマー(入門書)を意識して構成されています。G-BASICは初等幾何学の問題を数値的に扱うことができます。この言語を使いこなすための演習テキストは別に準備されています。さらに、CADのツールに利用できるGEOMAPを使いこなすための演習テキストも別に準備されています。

 本書の構成は、図形の変換(第5章)を主題にしています。この主題を扱うために、座標系の考え方(第2章)、幾何学的要素の代数的な表し方(第3章)、変換行列の数学(第4章)といった説明の手順を経ています。図形を描くことは、図形のモデリングと考えることができます。そのうち、曲線を描くことを第6章にまとめました。設計作業では図形の面積や体積の計算が必須ですが、この計算方法にベクトルや行列を応用した方法を第7章で説明しました。なお、ベクトルや行列の計算式の解説は、本文に含めないで、一種の公式集のような形式で付録に回してあります。本文では、式の導き方や背景について解説しましたが、各章ごとに「まとめ」で要約するとともに、実務での利用が便利にできるように、各種の計算表を付録で参照できるようにしました。ただし、一部には版が縮小されて読み難いページがあるのは御容赦いただきたいと思います。

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