2.10 ディスプレイの座標系

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 グラフィックディスプレイの画面は、作画装置(5)ですが、ブラウン管(CRT)に種々の型(サイズ)があるので、(4)のフィルムの性質があります。座標の考え方について言えば、プロッタの座標が方眼の線の交点を意味するのに対して、ディスプレイの座標では方眼そのものの位置を表します。ディスプレイに投影されている画像をプリンタなどに出力するとき(ハードコピーという)、画像の実寸法がどうなるかの知識が必要です。ワードプロセッサでは用紙寸法と活字寸法などをデータとして、印刷寸法の整合性を図っています。印刷と同時に画像を利用しようとするとき、画像の実寸法をどう選ぶかで調整が必要になります。この処理は、ソフトウェア的にほとんど内部で処理されていますが、原理的には整数座標系相互の座標変換で行われます。

 ディスプレイでは、その物理的寸法と座標系との両方の定義を理解しておかなければなりません。まず、ディスプレイ画面に考える2次元の装置座標系は、左上を原点とし、右にx軸、下にy軸と決めています。この向きの定義は、文書データを扱う場合に便利ですが、数学の平面座標の常識的な使い方(デカルト座標)と異なっています。画面を2次元図形の観察窓(ウインドウ)と考えて、図形の奥行き情報を与えるもう一つの座標軸を考えることがあります。立体図形の透視図を描くときの垂直投影面は、先の世界座標の定義に基づくと、(y、z)座標平面と平行な平面になります。このように、机の表面を考えた2次元だけの(x、y)座標と、立体的な空間で図形を観察する場合の座標とを一緒に考えると、いくつかの点で定義の混乱が起きます。

 ディスプレイの画面寸法は有限です。これには二つの概念が含まれています。一つは、画面の精度を表すピクセル数であって、例えば640×480のように呼ばれる整数の数値です。座標も整数で与え、この数値の範囲が作図範囲となります。もう一つは物理的なディスプレイの寸法を言い、14型、21型などと呼ぶ数値です。この14、21という値は、画面の対角線の長さをインチ寸法で表すことからきています。コンピュータグラフィックスの立場からは、画面のピクセル数の方が重要なパラメータになっていて、この値が大きい程、画面の精細度が上がります。同じピクセル数のディスプレイ装置でも、型寸法が違うと表示される図の実寸法が変わります。ピクセル数の多い高密度のディスプレイを想定して画面を計画した図が、密度の低いディスプレイでは、右と下とが欠ける、または、全体が表示できない、ということが起こります。ディスプレイに表示した映像をプリンタに出力させるときは、図の寸法を調整するための座標変換が行われます。

表2.3 グラフィックスモニターのピクセル数

ピクセル数(IX×IY)

縦横比(IY:IX)

640×400
640×480
800×600
1024×768
1280×1024

5:8
3:4(テレビ画像比と同じ)
3:4
3:4
3:4

備考:35mmフィルム用カメラの画像比は2:3
JIS>用紙寸法の縦横比は1:1.14

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