附録I G-BASIC+GEOMAPの概要

I.1 開発の経緯

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 GEOMAPは,穂坂衛,木村文彦が開発したFORTRANで書かれたサブルーチンパッケージの名称であって"Geometrical Modelling And Processing"から命名された[1].GEOMAPは,幾何モデリングに利用するが,これを使うためには,ユーザが目的に合わせてFORTRANでメインプログラムを書かなければならなかった.幾何モデリングをインタラクティブに利用する方法が種々工夫されてきたが,当時ブームとなっていた8ビットのパーソナルコンピュータに搭載されていたBASICインタプリタの使い方を真似ることにした.そのため,メインフレームの環境で動作するBASICインタプリタをFORTRANで書き,GEOMAPのサブルーチン名をBASICの特殊コマンドとして利用できるようにした.そのBASICインタプリタをNUCE-BASICと命名した.このインタプリタを幾何の計算に向くように発展させたものがGEOMETRY-BASIC,詰めてG-BASICである[2].

 G-BASIC+GEOMAPは,G-BASICのインタプリタにGEOMAPをつないだ,という意味である.G-BASICの骨格は単純なBASICインタプリタである.幾何の計算に利用するコマンドを使わなければ,その言語仕様はJISの基本BASICにほぼ準拠している.8ビットのパーソナルコンピュータがブームになって以降,DOSおよびBASICの使い方についてはユーザが一通りの常識を持っていたので,GEOMAPを利用するBASICのプログラミングについて細かな説明書を準備する必要がなかった.つまり,追加されたGEOMAP用などの特殊なコマンドについて説明すれば,ほとんどのユーザが例題を見ながらプログラミングができた.以下に示したコマンド一覧は,そのようなユーザを前提としてまとめたものである.

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[1] M.Hosaka, F.Kimura:"An Interactive Geometrical Design System with Handwriting Input," IFIP77, 1978.

[2] Shizuo SHIMADA,"A Language GEOMETRY for Education and Profession," Microcomputers in Secondary Education, S.Moriguchi et al.(Eds.), Elsevier Science Publishers B.V.(North-Holland), IFIP, 1987.

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