1. 基礎知識の穴埋め

1.1 算術の常識を再確認する

1.1.1 引き算は難しいこと

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 殆どの人は、小学校の低学年で教わる、1+1=2に始まる整数の加減乗除の算術を、どうやって覚えたかの過程を忘れていると思います。一桁の足し算は一年生で習います。掛け算は、足し算の知識の上に成り立ちます。同じ数を何度も繰り返して足す結果を「九九」で覚えます。引き算は、かなり遅れて三年生になって習うのですが、その理由は足し算の知識が応用されるからです。二桁以上を扱う引き算は、引けない位のとき、上位の桁から10を借りてくる方法を習います。しかし、全体として引けない引き算の問題を含ませてありません。負の数の概念は、小学生には難しいからです。算術の割り算は、引き算を繰り返し応用することですので、引けなくなった残りが余りです。電卓が使える現代では、「九九を始めとする算術を覚える必要がない」とする過激な論もあります。しかし、市販の電卓で「10÷3の答は3、余りが1」の計算をしようとなると、一寸した計算手順を工夫しなければなりません。普通の電卓で余りの計算、さらには過不足の計算が一回で出来ないと言うことは、一般の人には、案外、常識の盲点になっています。


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