電卓で「10÷3」の計算をさせると、3.333…と得られます。これを実数表現と言い、答を正確に表そうとすると無限に数字を書かなければなりません。小学校では、実数の代わりに分数を習います。数学の計算では整数と実数とを区別しませんが、実社会では無限に数の並ぶ実数を扱うことをしません。小数点を含む数であっても、小数点の位置を便宜的なものと考えて、小数以下を何桁かで区切り、そこに最小桁のある整数扱いをします。したがって、乗除計算の約束は、整数と実数とで扱いが異なります。社会生活で使う数は、実質的にはすべて整数として扱いますので、電卓で一意に計算をさせるとき、実質的な単位がどこにあるかを判断しなければなりません。これが切り上げや切り捨ての処理の背景です。お金の計算では余りを切り捨てることが常識ですが、科学技術関係では四捨五入が使われます。日本工業規格では、少し工夫を凝らすJISの丸めを提案しています。これは、末尾が5で終わる数の四捨五入は、その前の数が偶数になるように切り捨てるか切り上げるかを決めます。科学技術に関係する社会では、レポートなどに書かれている数字の表現方法を見れば、そこの技術レベルの成熟度が判断できます。例えば、円周率を表すとき、3, 3.14, 3.1416, 3.141592 などを、状況に応じて使い分けます。桁数を多く並べれば正確である、と思うのは素人考えです。