3.7 変換行列の定義

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 幾何モデルに移動・回転・変形などをさせるとき、またはモデルをカメラ座標系で見たように座標変換をさせるなどの変換は、変換行列を定義してこれを使って代数的な演算の約束を組み立てます。このデータ形式は、前節の座標系の定義と全く同じ3×4の行列で定義されます。また、座標系の定義は変換そのものを定義した変換行列の性質を持っています。いま局所座標系でモデルの座標が与えられているとします。このモデルが世界座標の中で移動や回転をして新しい位置に動いたとします。このモデルには局所座標系のデータが組み込まれていますので、それを使えば、局所座標系で与えられた座標を世界座標系で見た座標に変換することができます。逆に、世界座標系で与えられた座標を、そのモデルの座標系に直した座標に直す計算をすることもできます。後者の変換を逆変換といいます。透視図を作成するときには、モデルの世界座標での座標値をカメラ座標系でみた座標値に変換する逆変換処理がなされます。

 3次元の座標系は、3×4の行列として表す数学量ですが、G-BASICではこれを図形としてコンピュータグラフィックスで表すことができるようにしました。これは、その座標系の原点を共通の起点として、三つの単位長さのベクトルを線分として描きます。変換行列の場合にも同じように三つのベクトル線分として描きます。2次元の座標系および変換行列を表す2×3の行列も、同様に作図させます。このように図に表すことで、代数的な表現である行列の特徴を視覚的に納得して理解することができます。

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