1. 基礎知識の穴埋め

1.1 算術の常識を再確認する

1.1.3 算盤は正の整数だけを扱う道具であること

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図1.1 算盤は一続きのレジスタを適当に区切って正の整数の表示をする道具です

 算盤(そろばん)の歴史は古く、基本的な使い方を覚えれば、便利に利用できる日常計算の道具です。電卓があっても、算盤に手の行く人は案外多いのです。算盤は、原理的には正の整数だけを表示します。引き算をしていって、引けなくなったときは、同じ算盤で仮に別の桁位置を使うか、別の算盤を使って、引く側と引かれる側の数を入れ替えて計算します。ところが、電卓ではマイナスで表示します。このとき、負の数の概念と、過不足の概念が混じりますので、それを合理的に解釈しないと混乱します。数学の環境では二つ以上の解釈が出る方法を嫌いますので、負の数の表現を優先します。しかし、実生活では、負の数の概念と余りとは混在して使われています。お釣の計算は余りですが、利益の計算では、負の数を赤字と呼んで区別します。布や紙を一定寸法で区切るときの余白部分が余りですし、寸法不足分を言うときは概念的には負の数です。


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