
算盤(そろばん)の歴史は古く、基本的な使い方を覚えれば、便利に利用できる日常計算の道具です。電卓があっても、算盤に手の行く人は案外多いのです。算盤は、原理的には正の整数だけを表示します。引き算をしていって、引けなくなったときは、同じ算盤で仮に別の桁位置を使うか、別の算盤を使って、引く側と引かれる側の数を入れ替えて計算します。ところが、電卓ではマイナスで表示します。このとき、負の数の概念と、過不足の概念が混じりますので、それを合理的に解釈しないと混乱します。数学の環境では二つ以上の解釈が出る方法を嫌いますので、負の数の表現を優先します。しかし、実生活では、負の数の概念と余りとは混在して使われています。お釣の計算は余りですが、利益の計算では、負の数を赤字と呼んで区別します。布や紙を一定寸法で区切るときの余白部分が余りですし、寸法不足分を言うときは概念的には負の数です。