1. 基礎知識の穴埋め

1.3 計算は技術であること

1.3.1 算術と数学は実践と理論の関係にある

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 算術と言う言葉を使うと小学校で習う初歩的なレベルを想像しますので、体裁を付けて言うときは「数値計算法」です。しかし、これは学問としての「数学」とは違って「技術」に属します。そのため、理科系の大学では、工学部の方で主に研究されています。理屈っぽく説明しますが、技術は三つの要素で構成されます。「道具・技法・技能」です。計算の道具は種々の工夫が凝らされて進化しています。算盤・機械式計算機・電卓・コンピュータの歴史がそうです。技法は道具の使い方や原理などを指し、ここに数学も位置付けます。コンピュータの用語で言うと、道具と技法はハードウェアソフトウェアに当たります。技能は個人個人が自分で覚えて身に付ける能力を指します。コンピュータ利用の見方から言うと、キーボードの操作に慣れることは技能の一つです。技術移転(technology transfer)では、道具と技法は眼に見える物として伝えることができます。しかし、道具を使いこなす技能は人と人との繋がりで伝える部分が主ですので、その繋がりが切れると技術全体が死滅することも起こります。現代は書店に行けば多くの参考書がありますし、インターネットを介すれば個人の環境で多くの知識つまり技法が得られます。しかし、学校での対面授業のように、人との交流の場を大切にしないと、技能の実際を納得することはできません。


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