ファイル装置は典型的なハードウェアですので、それを扱うプログラミングは、新しい用語で言えばオブジェクト指向プログラミング(object oriented programming)です。オブジェクト(object)は日本語に訳し難い用語ですので、カタカナ語で使います。そのため、良く分からなくて、誤解も起こります。文法用語では目的語と訳していますが、これは名訳です。それに引きずられて「目的」と解釈すると誤解が起こります。オブジェクトの単純な意味は、形を持った物(もの)であって、味も素っ気もありません。英語の環境では単純な用語ですが、日本語の環境で意味を探ろうとすると面倒な専門的な解釈が入ります。注意することは、文法用語の目的語が意味する対象は、物と同時に人や生き物も含むことです。コンピュータが処理するのは眼に見えない電気信号ですし、数値計算も実体がよく分からない処理です。これに対して、それらを扱う、眼に見える物をオブジェクトの名称でくくります。ディスクは典型的な物ですので、ディスクを扱うプログラミングはオブジェクト指向プログラミングです。その手続きは、準備処理(例えばopen)、入出力処理(例えばread/write)、後始末処理(例えばclose)の三段階あるのが定石です。ファイル作業は、どの装置を使うか、ファイル名は何か、読み・書きどちらか、などを決めます。これらの情報を一括管理するデータ領域が内部的に準備されます。新しい概念では、この全体をクラスとして扱います。ユーザレベルでは、その中身について詳しく知る必要がありませんので、DOSの環境のプログラミング言語では簡単になっています。例えば、キーボード、モニタ、プリンタなどは広い意義ではディスク扱いですが、準備処理も後始末処理も表には現われません。しかし、Windowsの環境では、これもユーザの責任でオブジェクト指向プログラミングをしなければなりません。