5. グラフィックスのプログラミング

5.2 座標系の知識

5.2.1 座標幾何学の素養が必要

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 図形の性質を扱う幾何学は数学の一分野とされていますが、歴史的には代数学とは別種の学問体系でした。幾何学に数学的な方法を応用するようになったのはデカルト(1596-1650)以降です。デカルトは座標系を体系づけましたので、数学で利用する直交座標系デカルト座標系とも言います。そして座標系を使って幾何の問題を扱うのを座標幾何学とも解析幾何学とも言います。コンピュータを利用して作図するには、まず、大元になる基準座標系を決めます。これを世界座標系(world coordinates)と言います。突き詰めて考えると天動説・地動説にも関係する大きな話題です。実践的には、自分の居る狭い範囲で、適当に世界座標系を決めます。世界座標系は三次元空間を考えるのですが、グラフィックスでは垂直な壁面に二次元の世界座標系を決めて、そこに在る図形を擬似的なカメラを使って写し取る、とするモデルを考えます。カメラのファインダはこの平面世界座標の或る矩形範囲の図形を切り取ると考え、その範囲をウインドウと呼びます。コンピュータ用語ではウインドウの用語がやたらと出てきて、グラフィックスの方のウインドウと混乱するようになりました。そのため、コンピュータのモニタ上に表示する枠の方はフォームと言い換えています。さて、この写し取った写真のネガから、それをグラフィックス装置、ここではモニタ画面に、引き伸ばしなどの処理をして焼き付けると考えます。この画面全体には装置座標系(device coordinates)が決められています。図は、この全体画面の一部に枠を決め、そこに貼り込むようにします。この枠をビューポート(viewpoit)と言います。そして、ここに、先のウインドウの座標枠が納まるように座標系を当てはめる座標変換(coordinate transformation)を行います。これを、ウインドウ-ビューポート変換と言います。作図の命令は、もとの世界座標系で測った図形の座標を使います。なお、先のフォームは、グラフィックス用語のビューポートに当たります。


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