5.5 第5章のまとめ
「第5章 図形の投影と変換」のまとめ
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- 5.1 投影・射影・変換などの言葉の意味
- 立体的な形状を平面的な図に描くことを投影という。
- 投影を代数学的に扱うことを図形の変換という。
- 平行線が平行線に変換される変換をアフィン変換という。
- 平行線の平行が保証されない変換が射影変換である。
- 透視図法は射影変換の一つの応用。
- 投影法は、座標系、対象物、視線、投影面の四つの要素からなる。
- 視線と投影面との関係は、カメラとフィルム、またはX線と感光フィルムの関係をモデルとして考えるのが分かりやすい。
- 人の眼とほぼ同じ視野を持つ中心投影のカメラは、35mmフィルムを使うカメラでは焦点距離50mmのレンズになる。
- 平行投影は、対象物から十分遠くに距離をおき、相対的に望遠レンズを使った極限と考えることができる。
- 図学的な平行投影は、暗黙の内にカメラでの拡大・縮小処理を含む。
- 用語としての射影は投影と同義であるが、射影変換は数学用語である。
- 透視図とは英語のperspectiveのことをいい、中心投影で得られた投影図をいう。一方、絵画では遠近法ともいう。
- 5.2 アフィン変換
- 普通に行われる平面図形の変換とは、原図を囲む一般的な平行四辺形枠を、図の貼り付け側の平行四辺形枠に嵌め込む処理。
- 平行四辺形枠の定義は、局所座標系の行列の形で考える。この図形枠を変換行列の形で表す。
- 図形の変換は代数的には行列変換。代数的な逆行列の演算は、G-BASICを使えば関数REVで求められる。
- 立体図形の変換は原図形を囲む平行六面体から別の平行六面体への嵌め込みと考える。
- 平行六面体の定義は、四つの頂点から局所座標系を定義する変換行列の形で表す。変換の代数的な求め方は平面図形の場合と同じ。
- 二つの図形を接続させるには、移動元と移動先とに相似の図形を定義し、これを局所座標系の行列で定義し、図形を重ね合わせる変換行列を求める
- 平面図形を多面体のある面に貼り付ける場合は、平面図形を空間にある立体図形として定義して、3次元図形の重ね合わせと考える。
- 多面体からその展開図を求めることは、面ごとの正投影図から、共通の辺を繋ぐように平面図形を変換させる。
- 5.3 射影変換
- 平面図形の射影変換は、原図を囲む矩形の枠が、任意の凸四辺形に変形する変換。
- 射影変換では、平行な対辺が必ずしも平行ではない一般的な四辺形に変換される。
- 射影変換は四辺形の二組の対辺がそれぞれ平行である場合を含むことができるので、一般的な射影変換はアフィン変換をも含めて扱うことができる。
- 2次元図形の射影変換の原理は、ビルの壁面のような平面領域に描かれた図形を斜めから中心投影原理のカメラで撮影したような透視投影図を考えるのが分かりやすい。
- 基本的な2次元図形の射影変換は、視点を原点に置いた視点座標系を考え、透視投影面は(x,y)座標面に平行、原図が描かれている面は傾いた平面とする
- 実践的な射影変換は、原図側の四辺形枠を変換側の四辺形枠に割り付けるとして8元連立1次方程式を解く。
- 立体図形の射影変換は、4次元の超空間に考えた視点座標系で、超平面への投影として数学的に拡張して考える。
- 立体図形の射影変換は、変換元と変換先とで、各面が三角形である六面体を考え、5頂点を重ね合わせるように15元連立1次方程式を解く。
- 立体図形の射影変換の最も単純な応用例は、直方体から台形への変換である。数値計算例を示した。
- アフィン変換成分を含まないような標準化した射影変換式では、二つの係数を入れ替えるだけで逆変換の式が得られる
- 1次元の射影変換は、等間隔に並んだ電柱が高さとともに間隔も変化して投影される、などの図形に現れる。
- 5.4 透視図の数学
- カメラ座標系の座標軸の取り方は参考書ごとに違うので注意する。
- この節の説明ではレンズの軸方向をx軸とし、手前側に+xとする。
- 投影面の平面座標系は、カメラ座標系のyz座標を当てはめる。
- 理論上のカメラは焦点距離を1とし、焦点距離fはプリントするときの倍率と考える。
- 透視図は、3次元の射影変換のうち、奥行きのデータを使わない。奥行きデータは、隠れ線や隠れ面処理のときに利用する。
- 世界座標系の座標軸とカメラ座標系の座標軸との相対的な角度差によって、一点・二点・三点透視図と区別すある。点の数は投影面上の消点の数をいう。
- カメラの座標軸が世界座標軸と平行に置いた状態での透視図が一点透視図になる。
- 一点透視図のカメラ位置から、カメラを左右に振る(パンする)と二点透視図となる。
- 一点透視図のカメラ位置から、カメラを上下に首を振るように動かす場合にも二点透視図になる。
- 水平方向にパンした二点透視図から、さらにカメラを首をふるように動かす(スイングする)と三点透視図になる。
- 写真などからカメラの位置と向きを求める問題を透視変換の逆問題という。モンタージュパースに応用される。
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