「第6章 曲線」のまとめ
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- 6.1 概説
- 図形を描くときは、線を使って境界を明らかにし、領域を色と濃淡とで埋める。コンピュータグラフィックスでは、line-drawingとpaintingとで図形を構成する。
- コンピュータグラフィックスやCAD/CAMで利用する曲線は、少ないデータから簡単な数値計算で再現できるものが応用される。例えば、円や楕円を描くとき、正弦関数のsin、cosを使わない式を利用する。
- 大抵の曲線は、二次方程式または三次方程式を応用した代数式で計算する。
- 英語の用語のスプライン(spline)は、製図で曲線を描く用途に使う用具のことであり、日本語では「しない(撓い)定規」という。
- 曲線は、弾性的な針金をモデルに考える。現実の材料を使った三次元的な曲線は、材料に元からある捩じれと、弾性的な変形で生じる捩れと、幾何学的な空間曲線としての捩じれとが組み合わさっている。
- 曲面は、2方向の曲線で構成されると考える。リボンは曲面の性質があり、リボンの捩じれは面の捩じれである。ただし、曲線一般については、この章では扱わない。
- 6.2 空間曲線の幾何
- 平面曲線と空間曲線とを統一的に扱うには、曲線の長手方向に測った曲線の長さをパラメータとし、曲線の位置をベクトルで扱い、ベクトルの微分を考える。
- 空間曲線は、位置・接線・法線・倍法線のベクトルと曲率・捩率の定数で表す。平面曲線では、このうち捩率が常に0となる曲線である。
- フルネ・セレの公式は、曲線の解析に極めて重要である。
- 6.3 蔓巻らせん
- 蔓巻螺旋(つるまきらせん)は典型的な空間曲線であり、らせん階段、ワイヤーロープの撚りなどに見られる。自然界では朝顔のつるの巻き付きの形に見られる。
- ワイヤロープでは素線の撚りの向きをS撚り・Z撚りの呼び名で区別する。
- 円柱に対して針金断面が同じ向きで巻き付くためには、針金を強制的に捩り込む必要があることを式の形から解説した。
- 6.4 クロソイド曲線
- クロソイド曲線とは、数学ではCornu螺旋と呼ばれ、この原点附近の曲線を利用したものである。
- 高速鉄道の緩和曲線や、高速自動車道路で滑らかにハンドルを回して曲線部分を走行できるように線形を設計する目的で利用されるようになった。
- クロソイド曲線は遊園地のジェットコースターの曲線にも利用されている。
- コンピュータがなかった時代には非常に数値計算の難しい曲線であった。
- 6.5 スプライン曲線
- スプラインの応用は、コンピュータグラフィックスで利用される前には、不等間隔で与えられた観測値を等間隔のデータに切り直すときに用いられ、滑らかな曲線に添わせて途中の座標値を補う曲線補間に応用した。
- 曲線内挿、曲線当てはめ、曲線補間は実践的な技術であるので、なるべく数学的には簡単な式が提案される。
- スプラインの数学的モデルは、構造力学で「三連モーメントの式」の応用として知られている連続梁の解析式である。
- 三連モーメントの式は、対角線要素とその両隣の要素以外が0の対称な帯行列で表されるので、次数の大きな行列であっても、消去法を使って簡単に逆行列の数値計算ができる。
- 6.6 三次曲線
- 大きく曲がる空間曲線に弾性梁の曲げ理論を拡張したものが3次のベジエ曲線である。
- 四つの点を順に結ぶ曲線を計算するには、ラグランジュ補間を利用する。この方法は高次の補間式にも応用できる。
- 6.7 二次曲線
- 二次曲線にラグランジュ補間を応用すると、実用的な計算式が得られる。一つは与えられた3点で構成する三角形に内接するような二次曲線、もうひとつは、中間点の接線が始点と終点とを結ぶ直線に平行にする方法である。
- 楕円・放物線・双曲線は二次曲線であり、簡単な代数式で表現できる。
- 曲面の内挿補間は二組の曲線の組み合わせで計算する。曲線あてはめの実用式は付録Gにまとめた。
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