「第7章 図形の幾何定数の計算」のまとめ
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- 7.1 概説
- 縦・横・高さ・幅・奥行き・深さ・距離・直径・半径などは、長さを表す用語である。
- 真直ぐな直線を引いて測った長さを意味して使われる。
- 曲線や多角形に沿って測る長さも必要である。角度も長さに直した量で扱う。傾斜を表すとき、奥行きに対する高さの比で表示するのが技術社会では習慣になっている。
- 工業製図は、物指しを使って測れないような寸法を記入しない。
- 面積と体積とは、長さを元にして計算で求める。複雑な図形では、物理的な測定で体積や面積を求めることがある。
- 工業製品の設計では、重心位置・一次モーメント・二次モーメント・主軸などの計算が必要になることがある。
- コンピュータを利用する場合には、平面図形の要素は三角形、立体図形の要素は四面体を考える。
- 有限要素法(FEM)の実際は、要素の幾何学的な切り分けの方法や、コンピュータのメモリー領域の使い方に関連したトポロジーの問題が多い。
- 7.2 長さの計算
- 距離の計算は平方根の計算が使われる。
- 距離は正の数値が普通であるが、トポロジー的な使い方をするときには、符号を付けるか、右や左などの言葉を添えて使う。
- 曲線に沿って測る長さの計算は、数値計算で厄介な問題になる。
- 距離の計算に平方根の計算を省いたマンハッタン距離を使うことがある。
- 7.3 図形の統計学的な数値
- 幾つかの点の座標値に統計的な計算をあてはめた結果に、幾何学的な名称が付く。重心・一次モーメント、二次モーメントなどである。
- 二次モーメントは、対称な行列にまとめて考えるのがよい。
- 平面図形と立体図形とは、点群の代わりに面要素、体積要素を集積したものと考えて幾何定数の計算をする。
- 図形の二次モーメントは、重心に座標系の原点を置いて求める。
- 二次モーメントの対称行列を固有値解析をすると、図形の主軸方向と、その主軸に関する二次モーメントが得られる。
- 平面図形の二次モーメントから、統計計算で求める標準偏差に相当する数値を求めたものを、その断面の慣性半径という。
- 部材の長さと慣性半径との比を細長比という。
- 7.4 三角形の幾何学的定数
- 任意の平面図形をコンピュータで処理する場合には、その図形を囲む多角形の頂点座標の並びで与える。
- 頂点座標を与えるには、デジタイザで図形から直接読みとる場合と、幾何モデリングを応用して間接的に求める、などがある。
- コンピュータで図形の定数を計算させるときには、図形を三角形要素の集合で考える。頂点の座標をベクトルで与えるようにしておくと、三次元空間の平面図形にも応用できる。
- プラニメータは、三角形要素の面積を面積分で求める装置である。
- 7.5 四面体の幾何学的定数
- 中身の詰まった立体的な形状をモデル化することをソリッドモデリングという。
- 幾何学的に矛盾のない処理をさせるには、多面体モデルを作る。面を多角形にすると、頂点が一平面に載る条件で誤差がでやすいので、表面をすべて三角形の面で覆うようなモデルが利用される。このようにすると、四面体が計算の単位になる。
- 表面の多角形の面積計算は、ベクトル積を利用して求める。これは、この面に垂直で、面積の大きさを持ったベクトルとして計算される。
- 体積の計算は、例えば原点を頂点とし、多面体の面を底辺とする多角錐の体積を全体で加算する。
- 重心・二次モーメントを計算する場合には、表面の多角形を三角要素に分け、この三角形と原点とで構成する四面体の幾何定数を加算する。
- 7.6 多面体の定理など
- オイラーの多面体定理は、F+V=E+2である。地図のような平面図形に応用した場合は、F+V=E+1である。いずれの場合にも、多角形の面の内側に飛び地を持つ場合には成立しない。
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